燃える平安京―――。
鬼か?人か?
妙なる琴の音に散りゆく山の紅葉。
宿命に立ち向かう琴弾き紅葉と女盗賊お万、戸隠は岩屋に住みつく法華修行僧釈長明、そして余五将軍平維茂……。
長野県鬼無里に伝わる『鬼女紅葉伝説』をモチーフに、史実を探りながら名もなき群像を描く。
謡曲・歌舞伎の『紅葉狩り』や『鬼女紅葉伝説』を、現代解釈で読み解いた歴史小説。
第1章 1.捨て子 =>立ち読み 2.京の都 =>立ち読み 3.琴弾き =>立ち読み 4.跳梁跋扈お万 =>立ち読み 5.小野道風 6.経基王 7.修羅と菩薩 8.とらわれの身 9.嫉妬 10.観月の宴 11.鬼女 12.流罪 13.都落ち |
第2章 14.紅葉とお万 =>立ち読み 15.釈長明 =>立ち読み 16.瀕死の淵 17.水無瀬 18.内裏屋敷の生活 19.京からの訪問者 20.山賊 21.内裏焼亡 22.声聞と縁覚 23.経基の死 24.再会 25.月夜と鷲王 26.春光 27.文明開化 28.人さらい 29.駆け引き 30.焼身 |
第3章 31.信濃国守 =>立ち読み 32.朝ヶ丘 33.出生の秘密 34.千手観音 35.力くらべ 36.談合 37.笹平の陣 38.元服 39.降魔の利剣 40.紅葉の岩屋 41.破魔矢 42.先手 43.逆襲 44.渡土 45.裏切り 46.笛と琴 47.宴 48.決戦 49.散葉 |
登場人物
登場人物名 |
物語上の役柄 |
もみじ |
琴弾きの名手。都で鬼女の疑いをかけられ、戸隠の“不帰の谷”に流される。水無瀬(鬼無里村)の文明を開く。後に、再び鬼女の疑いがかけられ、平維茂に討たれる。 |
おまん |
京の都を震撼させた女盗賊。50人力とも70人力ともいわれる怪力の持ち主。盗賊の頭をしているが、紅葉との出会いによって、何かが変わってくる。 |
しゃくちょうめい |
延暦寺から戸隠の顕光寺に派遣された法華修行の僧。教義の相違から僧長と喧嘩をし、荒倉山の岩屋に住みつく。紅葉の命の恩人。 |
わしおう |
乞食の童子だったが、紅葉の義弟となって経基王に仕える。元服してから、紅葉を求めて水無瀬の内裏屋敷に住みつく。月夜と結婚。 |
つねわかまる |
紅葉と源経基の間に産まれた男子。 |
たいらのこれもち |
平貞盛の養子。藤原実頼の命により、紅葉討伐のため信濃守に任命される。余五将軍と呼ばれる当時最強の武将。日本戯曲『紅葉狩り』の立役者。 |
みなもとのつねもと |
清和源氏の祖。承平の乱で名をあげ、天慶の乱にもかかわる。各地を遍歴する中級貴族。紅葉を妾とするが、鬼女の噂に翻弄され見放すが、死ぬ間際に謝罪する。 |
いがせ |
京以来、お万第一の部下。勘がよく、頭もいい。 |
くまたけ |
戸隠の名主の息子。駿馬“白竜”の持ち主。お万の部下になるが、傲慢で小心者。 |
おにたけ |
大兵漢で追いはぎ専門の山賊をやっていた。熊武の友人で、お万の部下になる。 |
つきよ |
水無瀬の内裏屋敷で、自ら志願した紅葉の待女。都に憧れる田舎娘。鷲王との間に桜子をもうける。 |
むらかみてんのう |
時の天皇。音楽好き。お万を京から追い出すきっかけを作った。 |
れいぜいいん |
村上天皇が崩御した後の第63代天皇。18歳。知恵遅れ。2年で譲位。 |
ふじわらのさねより |
村上天皇没後の実質的な実権者。紅葉討伐に平維茂を信濃へ送る。 |
ごすけ |
紅葉の義父。賭博で金を稼ごうとする怠け者。晩年、紅葉を頼りに水無瀬に訪れる。 |
はなだ |
紅葉の義母。紅葉の稼ぎを宛てに生活する賎民。疫病で没する。 |
おののとうふう |
書家の三蹟の筆頭にあげられる文化人。紅葉に忠告を与える。 |
こうのさぶろう |
信濃国府の役人。紅葉の噂を聞きつけ、面会に行く。 |
なりたさえもんのじょうながくに |
大政大臣より遣わされた平維茂の下臣。策略家。 |
こんごうたろう |
同じく大政大臣より遣わされた平維茂の下臣。剣術士。 |
年表
年号 |
西暦 |
平安京の主な出来事 |
承平5年 |
935 |
承平・天慶の乱。 |
承平7年 |
937 |
|
天暦6年 |
952 |
5月、桑の伐採を禁じ、桑を植える。 |
天暦7年 |
953 |
2月、諸国に寺院を修理させる。 |
天暦8年 |
954 |
3月、冷然院を冷泉院と改める。 |
天暦9年 |
955 |
村上天皇、穏子のために法華経を写経し供養。 |
天暦10年 |
956 |
3月、女御荘子女王歌合せを催す。 |
天徳元年 |
957 |
2、3月、火事続く。仁和寺で桜花会。七大寺の僧が雨乞い。 |
天徳2年 |
958 |
3月、法性寺火災。 |
天徳3年 |
959 |
3月、都中で乱闘騒ぎ。 |
天徳4年 |
960 |
3月、内裏女房歌合わせ。 |
応和元年 |
961 |
1月、小野道風昇殿。3月には諸門の額を書く。 |
応和2年 |
962 |
5・6月、大雨。鴨川決壊、洪水。止雨の祈祷。 |
応和3年 |
963 |
7月、旱災を除くため、東大寺で仁王経を読む。 |
康保元年 |
964 |
3月、大学寮の学生ら、勧学会を行う。 |
康保2年 |
965 |
14章、法華修行僧釈長明、戸隠にて焼身自殺。 |
康保3年 |
966 |
8月、大洪水、五、六条以南が海のようになる。 |
康保4年 |
967 |
5月、村上天王没。6月、藤原実頼関白になる。 |
安和元年 |
968 |
7月、東大寺、興福寺の乱闘をただす。 |
安和2年 |
969 |
3月、安和の変。 |
「私が鬼女か?維茂が鬼か?
維茂の誤解を解けば私の勝ち、この世は人の世じゃ。
だが、維茂が私を討てばこの世は鬼の世。
宴が全てを明らかにするじゃろう」
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